「保育園落ちた」は死活問題―シングルマザーの生きづらさは社会構造にあり(政治山)



子どものいる全世帯のおよそ1割が母子世帯

 先月発表された平成27年国民生活基礎調査結果によると、全国の世帯総数は5036万1千世帯で、児童のいる世帯は1181万7千世帯。そのうち、母子のみで暮らす世帯は79万3千世帯で、児童のいる世帯の約7%にあたります。

 実家で暮らす等、母子以外に他の同居者がいる世帯を含めた母子世帯も合わせると全体の母子世帯は、123.8万世帯(平成23年度母子世帯等調査結果)で、児童のいる世帯のおよそ10%が母子世帯であるということがわかります。母子世帯には未婚、死別、離婚とありますが、母子世帯の8割が離婚によるものです。

 私たちにとって、シングルマザーは身近ですが、子連れ離婚を選んだ当事者の実態を知る人は少ないのではないでしょうか。

 当事者でもある筆者が2014年1月から1年かけて静岡県中部地区に住む30代・40代の離婚したシングルマザー26人に聞き取り調査を行いました。結果の一部を紹介します。

子連れ離婚の実態(1)原因は経済問題が絡んだ複合的なものが半数以上

 離婚の原因について尋ねたところ、半数以上が「必要な生活費を渡さない」や「借金」等の「経済問題」を原因に挙げ、その中で、同時に半数以上が「暴力もあった」と回答し、さらにその半数が「浮気もあった」と回答。

 また、「暴力(精神的・肉体的)」と回答した全員も、浮気や経済問題などほかの原因を2つ以上挙げており、離婚の原因は1つではなく、様々なものが絡み合っています。

子連れ離婚の実態(2)子どもへの悪影響を避けるために離婚を決意

 子どもがいる中で離婚の決断をすることはそう簡単ではありません。「こんな状況はもう耐えられない。別れたい」という気持ちと「私が頑張ればなんとかなるかもしれない。やっぱり頑張ろう」という対極にある気持ちを行きつ戻りつして結婚生活を続ける中で、継続しかねる決定的な出来事が起こり、離婚を決意します。3割が結婚5~6年目で離婚を決意し、4割弱が「子どもへの悪影響を避けるために離婚を決意した」と回答しています。

子連れ離婚の実態(3)離婚成立まで数年かかる場合もある

 離婚を決意すると、ほとんどの人が実家に戻ります。手持ちのお金がなくても雨風を凌げ、食べ物に困らず、子どもの面倒を見てくれる実家は最高のセイフティネットだからです。

 離婚調停を起こすための準備をしたり、就職活動をしたり、子どもの保育園申込み準備をしたり、新生活の基盤作りを同時進行で進めていきます。離婚を決意してから離婚成立までの期間は離婚の形態によってばらつきがありますが、協議での離婚成立が見込めない場合は長期戦になる場合が少なくありません。

 「協議」で最も多い回答が3カ月未満、「調停」で最も多い回答が4カ月から6カ月、「裁判」になると1年半から3年と時間がかかっています。一定の収入以下のひとり親世帯が受給できる児童扶養手当は、婚姻中の場合でも「裁判所からのDV保護命令が出ている」等、要件に該当すれば受給できますが、基本的には離婚成立後でないと受給できません。

 また、離婚成立前に利用できる「ひとり親家庭(母子家庭と父子家庭の総称)相談窓口」を設置していない地方自治体も多く、地方自治体による離婚成立前の支援がほとんどないため、この時期に実家や親せき、友人等、頼れる人がいて、安心できる場所があるかどうかが離婚前後のシングルマザーの未来を左右する重要な要素になります。

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