加計学園問題 情報公開、説明尽くせ – 京都新聞






加計学園問題 情報公開、説明尽くせ

北部総局 秋田久

京都産業大の獣医学部が新設される構想があったキャンパス予定地周辺(綾部市位田町)
京都産業大の獣医学部が新設される構想があったキャンパス予定地周辺(綾部市位田町)

 学校法人加計学園(岡山市)が運営する岡山理科大の獣医学部が来春、愛媛県今治市で開学することになった。安倍晋三首相と親しい人物が理事長を務める学校法人が関わるこの問題の情報公開について、10月の衆院選では多くの有権者が疑問を呈した。選挙後、首相が問題の疑念に答える機会がないまま、林芳正文部科学相は14日、同学部の新設計画を認可した。首相は衆院選大勝をおごらず、国会で説明を尽くし、情報公開を徹底すべきだ。

 政府の国家戦略特区制度を活用した半世紀ぶりの獣医学部新設には、府北部の綾部市も大きな期待をかけた。京都産業大が同市にキャンパスを開設する府の提案だ。製薬の動物実験や感染症対策に携わる獣医師を育て、京都大のiPS研究や鳥インフルエンザ対策を充実させる内容で、京都の強みを感じた。幻のキャンパス計画地に立つと、過疎高齢化が進む地域に若者が行き交い、地域活性の起爆剤になっただろうと思いがこみ上げた。

 10月の衆院選では改憲や安全保障、経済対策とともに府北部では地域活性に向けた政策が関心を集めた。だが、国政のかじを握る安倍政権は、一連の加計・森友問題について、国民の信用を得るべく適切な情報公開や説明責任を果たしてきたのか。衆院選のさなか、有権者50人に尋ねた。

 綾部市や福知山市など京都5区(7市町)の駅や商業施設前で足を止めてくれた有権者の8割が「不十分」と回答。加計問題で「プロセスに一点の曇りもない」と強弁した安倍首相への憤りが寄せられた。情報公開の政策を重視する有権者も4割いた。

 加計問題では「総理のご意向」と書かれた文部科学省の文書が、相次ぐ内部告発後の再調査で確認された。森友学園問題でも財務省と学園側の交渉記録が保存期間を過ぎたとして「廃棄」された。こうした文書は、政策判断にどのような影響を与えたのか。政府の恣意(しい)的な情報開示を防ぐ公文書保存・公開の仕組みづくりを、もっと議論すべきだ。

 自民党は衆院選の公約で「国民への情報公開、説明責任を全うするため、行政文書の適正な管理に努める」と、公約集の最終ページに2行記しただけ。この位置づけに消極的姿勢が見て取れる。選挙後、与党議員は国会での質問時間を増やすよう要求。野党の追及を封じて安倍首相を守ろうとする意図さえ感じる。

 みそぎは終わった、と言わんばかりのタイミングでの加計学園の獣医学部の認可となった。アンケートでは、首相が「腹心の友」と呼ぶ加計孝太郎理事長の証人喚問を求める声も複数あった。今も根強い声だ。府北部の地域活性化をゆがめた可能性のある身近な問題として、首相や関係者の説明を注視していきたい。問題をうやむやにしてはならない。


[京都新聞 2017年11月15日掲載]


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